60歳からスキンダイビングは楽しめるのか?




60歳からスキンダイビングは楽しめるのか?

― 有酸素運動・無酸素運動から考える「無理をしないために」 ―

「60歳を超えてから、スキンダイビングを始めるのは無理でしょうか?」

体験や講習のお問い合わせで、ときどきいただく質問です。

結論から言えば、

60代からでも、スキンダイビングを安全に楽しんでいる方は実際にいらっしゃいます。

ただし同時に、

若い頃と同じ感覚で“頑張る方向”へ行くと、危険性は確実に上がります

これは単に「年齢だから危険」という話ではありません。

むしろ大切なのは、

  • 自分の身体が今どの状態にあるのか

  • 今の動きが“有酸素”で済んでいるのか

  • すでに“無酸素的な無理”に入っているのか

を理解することです。

今回は、

  • 運動習慣がある方

  • 久しぶりに身体を動かす方

  • これから海を始めたい方

全体に向けて、

「60代からのスキンダイビングで、どこから“無理”になりやすいのか」

を、運動生理学も交えながら整理してみたいと思います。


スキンダイビングは「有酸素」と「無酸素」が混ざるスポーツ

まず、スキンダイビングは単純なスポーツではありません。

  • 水中

  • 息止め

  • 水圧

  • 浮力変化

という特殊な環境で行われます。

さらに、

  • 水面移動

  • 潜降

  • 浮上

  • 呼吸回復

によって、身体の使われ方が変わります。


有酸素運動とは

有酸素運動は、

酸素を使いながら、比較的長く続けられる運動です。

例えば、

  • ウォーキング

  • 軽いジョギング

  • ゆっくりした水泳

などです。

身体の特徴としては、

  • 呼吸が安定している

  • 会話できる

  • 動きに余裕がある

  • 疲労が急激ではない

状態です。

スキンダイビングでも、

  • 水面をゆっくり移動している時

  • リラックスしてフィンを動かしている時

  • 力まず潜れている時

は、有酸素運動寄りです。


無酸素運動とは

一方で無酸素運動は、

酸素供給が追いつかず、瞬間的な筋力や糖代謝に頼る状態です。

例えば、

  • 全力ダッシュ

  • 強い筋トレ

  • 短距離走

などです。

特徴として、

  • 呼吸が苦しい

  • 心拍数が急上昇する

  • 力みが出る

  • 疲労が急に来る

状態になります。

スキンダイビングでは、

  • 強引な潜降

  • バタバタしたキック

  • 深場での無理な粘り

  • 流れに逆らう泳ぎ

などで、無酸素運動寄りになります。


60代で本当に危険なのは「年齢」より“境目”

実際には、

60代だから危険、
30代だから安全、

という単純な話ではありません。

重要なのは、

“有酸素で余裕がある状態”

から、

“無酸素的な無理”

へ入る境目を越えているかどうかです。

そしてこの境目は、加齢とともに狭くなりやすくなります。


加齢で何が変わるのか

一般的に加齢とともに、

  • 最大酸素摂取量

  • 回復速度

  • 心肺予備力

  • 血管柔軟性

は低下していきます。

つまり、

「余裕を持って動ける範囲」

が若い頃より小さくなります。

さらにスキンダイビングでは、

息を止めています。

つまり、

  • 酸素は減っていく

  • 二酸化炭素は増えていく

  • その中で身体を動かす

という状態になります。

そのため、

若い頃は問題なかった“少しの無理”が、

60代では一気に疲労や危険につながることがあります。


運動している人なら安全なのか?

ここも誤解されやすい部分です。

もちろん、

  • ウォーキング習慣

  • 水泳

  • ジム

  • 登山

などを継続されている方は、かなり有利です。

ただし、

陸上運動と息止め運動は別です。

例えば、

陸上なら苦しくなれば呼吸できます。

しかしスキンダイビングでは、

苦しくなってからでは遅いことがあります。

つまり、

「頑張れる人」

ほど、無理を超えてしまうことがあるのです。

特に、

  • 元気な方

  • 根性がある方

  • 昔スポーツをしていた方

ほど注意が必要な場合があります。


「無理の境目」はどこに現れるのか

では実際、どこで判断すれば良いのでしょうか。

現場では、深さより、

“浮上中と浮上後”

をかなり見ています。

例えば、

  • 浮上後にハァハァする

  • 会話が減る

  • 呼吸が乱れる

  • 動きが急に雑になる

  • 焦りが出る

  • キックが速くなる

こうした変化は、

身体がすでに無酸素寄りになり始めているサインでもあります。

逆に安全に楽しめている方は、

  • 浮上後も落ち着いている

  • 会話できる

  • 動作が滑らか

  • 「まだ余裕がある」

状態で終えています。


長く安全に楽しむ方の共通点

実際に60代から長く安全に楽しまれている方には共通点があります。

それは、

  • 人と競わない

  • 深度に執着しない

  • 無理を隠さない

  • 疲れる前に休む

  • 「今日はここまで」が上手

ということです。

逆に危険になりやすいのは、

  • 「まだ行ける」

  • 「せっかく来たから」

  • 「昔はもっとできた」

という方向へ行く時です。

スキンダイビングでは、

“頑張ること”

より、

“余裕を残すこと”

の方が重要になる場面が少なくありません。


60代から始めるなら大切にしたいこと

もしこれから始めるなら、

深く潜ることより、

まず、

  • 呼吸を整える

  • 力を抜く

  • 水面で楽に浮ける

  • ゆっくり動ける

ことを大切にしていただければと思います。

そして、

「今日は気持ちよかった」

で終われる日は、

実はかなり良い潜り方だったりします。


最後に

スキンダイビングは、

若さだけのスポーツではありません。

むしろ、

  • 力を抜く

  • 無理をしない

  • 自分の身体を観察する

ことが上達につながる、不思議なスポーツでもあります。

60代からでも十分楽しめます。

ただその代わり、

“若い頃の感覚で頑張る”

より、

“今の身体で余裕を持つ”

方向へ切り替えることが、とても大切なのだと思います。




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