「太ったからウエイト沢山いるよー」という声を聴きますが…
ダイビングでは適性(中性)浮力を保つために「ウエイト(鉛)」を装着しますが、
体重が変わると必要なウエイトはどれくらい変わるでしょう?
「ちょっと太ったかも?」という場合、体に増えた脂肪にはどれくらいの浮力があり、
どれくらいの追加ウエイトが必要でしょう?
今回は、『スーツや器材を無視し、既に適正である状態』を前提に、
体重の増加に応じて、どれくらいのウエイトが増えるのかを見てみましょう。
概要
■ 前提:脂肪は水より軽い!
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水の密度:1.0 g/cm³
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脂肪の密度:0.9 g/cm³(水より軽い)
つまり、脂肪は水に浮きやすい=浮力を生むということ。
そして、水中で体の浮力が増せば、その分だけ沈むための重り(ウエイト)が必要になります。
実際は…
- 太った分スーツが大きくなり浮力が増す
- 太っても脂肪以外も増える
- 個人差がある
- 海水や淡水で浮力が変わる…等々
話を単純にするために提示以外の条件は無視します。
■ ウエイト増加量の計算式
1kgの脂肪 → 約1,111cm³の体積(= 1,000g ÷ 0.9)
→ 水中で生じる浮力差:111g(1,111 ×(1.0 – 0.9))
したがって、脂肪1kgあたり約110gのウエイトが必要になります。
■ サンプル別:必要な追加ウエイト一覧
体重増加量(主に脂肪) | 増える浮力(理論値) | 必要な追加ウエイト |
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+1kg | 約0.11kg(110g) | 約110g |
+5kg | 約0.56kg(556g) | 約0.56kg |
+10kg | 約1.11kg | 約1.1kg |
+30kg | 約3.33kg | 約3.3kg |
※いずれも裸の状態(スーツ・器材なし)での理論値
■ 結論:体重が増えると「沈まない(浮きやすい)体」になる
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増える脂肪は“浮き袋”のようなもので、体の浮力が増します
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適性浮力にするにはウエイトで打ち消して中性浮力にします
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10kg以上の増量では、ウエイトが1kg以上追加で必要になります
- 海水では比重が3%程高いので、ウエイトは更に3%程増やします
■ 実際のダイビングでは?
今回の計算はあくまで「スーツ・器材なし」の理論値ですが、
実際はウェットスーツやBC(浮力調整装置)の浮力も関わってきます。
とはいえ、体重が増えた=ウエイト調整が必要という原則は変わりません。
✅ まとめ
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脂肪1kg増えるごとに、およそ110gのウエイトが必要
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5kg太れば約0.5kg、10kg太れば約1kg、30kg太れば3kg以上の追加が目安
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水中での「浮く・沈む」は脂肪の比重に大きく影響される
ワンポイントアドバイス
大原則としては、ダイビングをする前には、必ず事前にウエイトチェックを!
多少太った程度でのウエイト変化より、スーツや器材、呼吸法はじめテクニックなど、他の要素の影響の方が大きそうですね。
体重と浮力からしても…
上達や快適性…つまり「楽しさ」には、慣れないレンタル器材より、自身の器材を持ちいつも同じ器材が大きく影響するということは明らかなようです。
モノスゴク太る場合は例外的です。持ってる服は全て買い替えだろうし、健康面の問題の方が大きく、そもそもダイビングの問題ではないでしょう。