こんにちは!ココモの唐沢です。
ダイビングは、陸上の何倍もある高気圧の水中で、手持ちのエアーだけで1時間前後も過ごすことができる活動です。
タンクやレギュレーターの使い方だけでなく、体の中でどのように酸素が運搬されるか、どのような呼吸法が良いかなどを確認してましょう!。
体内での酸素の運搬
ダイビングでの生理的な人体への影響は、そのほとんどが呼吸器系と循環器系によるものです。
呼吸器系
呼吸器系とは「血液にガス交換の場を提供する」系統のことです。
- 末梢性化学受容器 酸素分圧をモニターする。[1]動脈血中の酸素分圧は大動脈小体と頸動脈小体でモニターされている。酸素分圧が低下 すると大動脈小体の迷走神経の求心性刺激と頸動脈小体の舌咽神経の求心性刺激が延髄 の呼吸中枢を刺激して換気を促進させる。-大学病院医療情報ネットワーク研究センター(
通称:UMINセンター)-
- 中枢性化学受容器 二酸化炭素分圧をモニターする。[2]中枢性化学受容器は延髄腹側野にあり、脳脊髄液の二酸化炭素分圧の上昇(PH の低 下)は呼吸中枢を刺激して換気を促進させる。血中の二酸化炭素上昇が最大の呼吸中枢を 刺激する要因である。-大学病院医療情報ネットワーク研究センター(通称:UMINセンター)-
酸素中毒
酸素は分圧が1.4気圧を超えると有毒になるります。
- レクリエーションダイビング
- 空気では、この酸素分圧に達することはない
- 20%の酸素(PO2 = 0.2ata)の空気の場合
1.4ata ÷ 0.2ata = 7ata (= 水深60m)
- 20%の酸素(PO2 = 0.2ata)の空気の場合
- エンリッチドエア・ナイトロックスでは可能性あり
- 36%の酸素(PO2 = 0.36ata)のEAN場合
1.4ata ÷ 0.36ata ≒ 3.9ata (= 水深29m)
- 36%の酸素(PO2 = 0.36ata)のEAN場合
- 空気では、この酸素分圧に達することはない
- テクニカルダイビング
- 減圧の間だけ分圧を1.6気圧まで上げることがある
- クローズド・サーキット・リブリーザー(CCR)
- 一般に1.3気圧を限界に設定する
スキンダイビングやスキューバダイビングでの留意点[3]PADIエンサイクロペディア
- 正常な人体では、呼吸を主にコントロールするのは酸素ではなく二酸化炭素
- 酸素レベルの低下を感知しても、二酸化炭素が許容範囲内にあると呼吸を促さない時がある。
- 酸素レベルが平常値であっても、二酸化炭素が過剰になれば呼吸は促される。
循環器系
循環器系とは「呼吸器系と消化器系から、酸素、燃料、原料を体の各組織に運搬し、二酸化炭素やその他の残りカスを体の組織から運び出し、排出する」系統のことです。
- 血しょうは血液の( )を占めますが、大気圧下ではほとんど酸素を運搬[4]何種類かのガスを運搬しますすることはないです。
《詳細》
約半分《詳細を隠す》
- 赤血球はヘモグロビンの手を借りて、必要な酸素の大半を運搬しています。
- 赤血球にヘモグロビンが無いとすると血液は( )倍の速度で循環する必要があります。
《詳細》
15~20《詳細を隠す》
呼吸の無駄遣い
ダイビングでの死腔について・・・成人の死腔は( )くらいとされる。[5]Wikipedia
《詳細》
150ml《詳細を隠す》
同じ6㍑(6,000ml)の呼吸で、「速い呼吸」と「落ち着いた大きな呼吸」で比べるとその無駄さは一目瞭然です。
浅めの呼吸
- 一回の呼吸量 300ml、呼吸数20回/分
- 一分間の換気量 (300-150[6]死腔) ×20 = 3㍑/分
深めの呼吸
- 一回の呼吸量 600ml、呼吸数10回/分
- 一分間の換気量 (600 -150[7]死腔) ×10 = 4.5 ㍑/分
ダイビングではここ体内の死腔の他にスノーケルやレギュレーターの死腔が存在します。参考にスノーケル(例:TUSA SP-175)の場合、内容積の150mlが死腔となります。
呼吸の速さ
上記の浅い呼吸は速くなり、深い呼吸はゆっくりになることでしょう。
組み合わせとしては「深く・ゆっくり」が呼吸を楽にします。
陸上や浅いところの呼吸とは異なり、深いところでは気体の密度が高くなっていることから流れに渦が発生しやすくなっています。海での流れの速い鳴門の渦潮を想像していただければいいでしょう。
この渦が呼吸抵抗[8]ある程度の呼吸抵抗には利点があります。息を吐くときに、細気管支と肺胞の圧力を多少上昇させるので、息を吐いた後のつぶれを防ぐ手助けとなります。を高め、呼吸のためにより多くのエネルギーが必要になります。
練習問題を解いてみましょう
ダイビングは病歴書の記入からスタートします。ダイバーからの質問に答えられるようにしておきましょう。
酸素の運搬は
血液中の( A )の中に含まれる( B )によって行われる。これなくして体に必要な酸素を維持するには( C )倍の速さで血液を循環させなければならない。
A、B、Cに当てはまる最も適切な用語は?
- 酸素代謝
- 心臓
- 赤血球
- 血しょう
- タンパク質
- ヘモグロビン
- 血液
- 肺動脈
- 4
- 20
- 25
- 33
《詳細》
解答
酸素の運搬は血液中の( A= c. 赤血球 )の中に含まれる( B= f. ヘモグロビン )によって行われる。これなくして体に必要な酸素を維持するには( C= j. 20 )倍の速さで血液を循環させなければならない。
《詳細を隠す》
二酸化炭素は
循環系によって次の割合で肺へ運ばれ、呼気によって排出される。[9]PADIエンサイクロペディア
- 血しょうに直接溶け込んで・・・( )%
- ヘモグロビンと結びついて・・・( )%
- 重炭酸というかたちで・・・( )%
《詳細》
解答
二酸化炭素は循環系によって次の割合で肺へ運ばれ、呼気によって排出される。[10]二酸化炭素の運搬
● 組織では O2が消費されて二酸化炭素 CO2が生じる。
● CO2は拡散して血漿、赤血球中に入り運ばれる。
● CO2は重炭酸イオン HCO3
-として運ばれるのが約 70%である。
二酸化炭素の物理的溶解は約 10%である。70%は重炭酸イオン HCO3-として運ばれる。組織で生成された CO2は拡散(酸素の 20 倍)によって血漿、赤血球に入る。この時の反応はCO2+H2O→H2CO3(炭酸)→H+(水素イオン)+HCO3-(重炭酸イオン)となる。この反応は赤血球中の炭酸脱水酵素 carbonic anhydrase によって加速される。生成された H+は酸素を切り離した還元ヘモグロビンと結合して、HHb となり、H+を緩衝する。また赤血球から HCO3-(重炭酸イオン)は血漿中に放出されて、血液のアルカリ性の維持に働く。
また血漿中の H+と結合して緩衝する。また CO2は Hb のアミノ基(NH2 基)に結合し、CO2+Hb-NH2 → H++カルバミノ結合 Hb-NHCO-となって運ばれるのが約 20%ほどある。肺に達すると、この反応は逆向きに進み炭酸 H2CO3から H2O と CO2が生じ CO2は拡散により肺胞内に放出される。-大学病院医療情報ネットワーク研究センター(通称:UMINセンター)-
- 血しょうに直接溶け込んで・・・( 5 )%
- ヘモグロビンと結びついて・・・( 20 )%
- 重炭酸というかたちで・・・( 75 )%
《詳細を隠す》
深い呼吸をする理由は
ダイビングでは大きい(深い)呼吸をする理由で間違っているものは?
- レギュレーターやスノーケルには呼吸死腔があり換気効率が低下する
- 肺胞内の二酸化炭素が十分換気されるように
- 特に水平姿勢では立ち姿勢より胸部の水圧で肺の換気量が減るから
《詳細》
解答 c. 立ち姿勢と水平姿勢が逆
正しくは: 特に立ち姿勢では水平姿勢より胸部の水圧で肺の換気量が減るから
補足 水中では、胸が口(空気取り入れ口)より低い位置にあるほど(特に立ち姿勢の場合)水圧が胸郭を圧迫するため換気量が15~20%減少[11]PADIエンサイクロペディアする。
《詳細を隠す》
ゆっくり呼吸をする理由は
ダイビングで(毎分同じ換気量として)速いより、ゆっくりの呼吸をする理由で正しいものは?
- 水中は熱が奪われやすいので呼吸で体が冷えるのを防ぐために
- スノーケル等器材内に乱流ができるのを防ぐために
- 水圧による胸部にスクイズになるのを防ぐために
《詳細》
解答 b. スノーケル等器材内に乱流ができるのを防ぐために
《詳細を隠す》
まとめ
- 酸素は、血液全体の45%を占める赤血球の中のヘモグロビン[12]ヘモグロビン(hemoglobin)とは、ヒトを含む全ての脊椎動物や一部のその他の動物の血液中に見られる赤血球の中に存在するタンパク質である。酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。赤色素であるヘム(鉄分)を持っているため赤色を帯びている。-Wikipedia-によって運ばれる
- 血液にヘモグロビンが含まれない場合は(現実的ではないですが)15~20倍の速さで血液を循環させる必要がある。
- 二酸化炭素の多くは炭酸塩に変えられて運ばれる。
- 呼吸は同じ換気りょうであれば、大きめでゆっくりする方が良い。
注釈
1. | ↑ | 動脈血中の酸素分圧は大動脈小体と頸動脈小体でモニターされている。酸素分圧が低下 すると大動脈小体の迷走神経の求心性刺激と頸動脈小体の舌咽神経の求心性刺激が延髄 の呼吸中枢を刺激して換気を促進させる。-大学病院医療情報ネットワーク研究センター( 通称:UMINセンター)- |
2. | ↑ | 中枢性化学受容器は延髄腹側野にあり、脳脊髄液の二酸化炭素分圧の上昇(PH の低 下)は呼吸中枢を刺激して換気を促進させる。血中の二酸化炭素上昇が最大の呼吸中枢を 刺激する要因である。-大学病院医療情報ネットワーク研究センター(通称:UMINセンター)- |
3, 9, 11. | ↑ | PADIエンサイクロペディア |
4. | ↑ | 何種類かのガスを運搬します |
5. | ↑ | Wikipedia |
6, 7. | ↑ | 死腔 |
8. | ↑ | ある程度の呼吸抵抗には利点があります。息を吐くときに、細気管支と肺胞の圧力を多少上昇させるので、息を吐いた後のつぶれを防ぐ手助けとなります。 |
10. | ↑ | 二酸化炭素の運搬 ● 組織では O2が消費されて二酸化炭素 CO2が生じる。 ● CO2は拡散して血漿、赤血球中に入り運ばれる。 ● CO2は重炭酸イオン HCO3 -として運ばれるのが約 70%である。 二酸化炭素の物理的溶解は約 10%である。70%は重炭酸イオン HCO3-として運ばれる。組織で生成された CO2は拡散(酸素の 20 倍)によって血漿、赤血球に入る。この時の反応はCO2+H2O→H2CO3(炭酸)→H+(水素イオン)+HCO3-(重炭酸イオン)となる。この反応は赤血球中の炭酸脱水酵素 carbonic anhydrase によって加速される。生成された H+は酸素を切り離した還元ヘモグロビンと結合して、HHb となり、H+を緩衝する。また赤血球から HCO3-(重炭酸イオン)は血漿中に放出されて、血液のアルカリ性の維持に働く。 また血漿中の H+と結合して緩衝する。また CO2は Hb のアミノ基(NH2 基)に結合し、CO2+Hb-NH2 → H++カルバミノ結合 Hb-NHCO-となって運ばれるのが約 20%ほどある。肺に達すると、この反応は逆向きに進み炭酸 H2CO3から H2O と CO2が生じ CO2は拡散により肺胞内に放出される。-大学病院医療情報ネットワーク研究センター(通称:UMINセンター)- |
12. | ↑ | ヘモグロビン(hemoglobin)とは、ヒトを含む全ての脊椎動物や一部のその他の動物の血液中に見られる赤血球の中に存在するタンパク質である。酸素分子と結合する性質を持ち、肺から全身へと酸素を運搬する役割を担っている。赤色素であるヘム(鉄分)を持っているため赤色を帯びている。-Wikipedia- |