こんにちは!ココモの唐沢です。
概要
天気予報と楽しさ
同じ気温でも感じ方が異なる。
(例)姫路地域での天気予報
- 夏に、気温15℃は肌寒い
- 冬に、気温15℃は暖かい
まぁなんと主観的というか、感情的というか…
それと、楽しい、楽しくないというのは全く別物。
ダイビングでは
冬の海でダイビングをするというと、まず、
多くの人は、
- 冬のは寒いと言い、自分の感情と行動(冬は寒くて海へ行かない)
と否定しながら、「何か楽しいことはないか?」と聞いてくる。
「冬のダイビングは澄んでて、綺麗で楽しい!」と言っても、知らない人は信じない。
気温8度の陸上で震えながら休日を過ごすくらいなら、
18℃もある冬の海中で遊んでる方が余程有意義な時間が過ごせる。
冬だからこそ!の、こんな(↓)海で
アイスクリームでは分かれる意見
「寒いのにアイスクリーム食べるの?」
「いや、食べないだろう」と反語的に否定する人がいる。
商品の流通統計(総務省統計局)から、冬にアイスクリームを食べる人は、上の質問からの印象程少なくはない。
現実は「寒いから食べない。」のではなく、寒くても食べてる...寒くても雪山にスキーに行くように。
ダイビングと異なるのは、誰もがアイスクリームは冬でも売っている、冬でも変わらぬ味だという標準的な情報を持っているということ。
多くの人は「ダイビングは冬も快適にできる」、「魚は多く冬の方が澄んでる」という情報を持たず、先入観のみで耳を貸すことなく否定する。
冬の海は言われてる程寒いか?
初心者の参加動向と水温、気温、水温の変化を重ねてみる。
「寒い」というのはどうやら海ではなく陸上の気温の影響の様だ(月別認定割合はココモ10年分の集計)。
季節による水温変化は、陸上の寒さに比べれば高が知れている。
- 季節間の水温変化は気温程の開きはない。
- 夏より冬の方が透明度等他の条件は良い。
どう見てもドライの方が優れてても
「ダイビングは夏」という先入観を信じて疑わない人の認知的不協和からの行動はドライスーツの選択場面でも登場する。
ドライスーツを着終わり準備完了し、ウエットダイバーが水着で水につかり頑張って着てるのを待つ場面もしばしば(写真は全員ドライ)
ドライの方が手軽で機動的な場面を目の当たりにしても、ウエットの方がドライより機動的で手軽だと主張する人が居る。
クドイが、今まさに、ドライダイバーが準備完了し待機状態で、ウエットダイバーは水着で身体を濡らしスーツと格闘しながらドライダイバーを待たせていることを認識しても…
そして実際は、ドライは寒いから使うというより、快適だから寒くなくても使う。
何故?
まず、ダイビングの情報がスキーやアイスクリーム程知られてないこと。
スキーやアイスの楽しさや美味しさとは異なり、冬の海やドライスーツの楽しさや快適さはあまり知られていない(夏のスキー同様、イメージが一般的でない)。
最も大きな影響力は…
経験の少ない新人プロや先輩ダイバー、また彼らのネット情報の影響
例えばニュースでは「経験年数10年以上、100回以上の経験のあるベテランダイバーが…」と表現されことがあるが、年に10回程(3~5日程以下)ダイビングするダイバーをベテランと呼ぶのは甚だ疑問だ。
ドライスーツの経験が無いか僅かしかない新人プロや先輩ダイバーが、先輩・指導者という立ち位置で自信をもって「機動性と手軽さはウエットだ。ウエットも分厚く着ると暖かい。」と話している場面に出くわす。
見掛け倒しにすぎないとしても、自信と確信に満ちて「真実」を語るものは、強力なインパクトをもって迫ってくる。岡田 尊司 (著)マインド・コントロール 増補改訂版 (文春新書)
心理面での誤謬
ドライスーツダイビングと、夏以外のダイビングの普及を妨げてる心理的ブレーキ…
他にも、ハロー効果、アンカリング効果、現状維持バイアス、確実性効果など、年間を通じたダイビングとドライスーツ普及に心理的な障害からとても妥当とはいえない推論がなされている。
自動車や服を買いに行って…
店員「この車は、自動で車間距離保って前の車についていって楽ですよ。」
客「えーそうなんですかーっ!!!」
なんてことはまずない!既に良さは知っていて詳細を店員に聞くものだ。(疎い人は居ても平均的に)
これから買おうとする人には、TVCMに限らずメーカー等がHP、SNS、業界紙などから発信する基本となる情報が事前に浸透しているから、販売店はより個別具体的な情報や活用例といった次の段階を提案する場となる。
車に限らず、iPhoneを筆頭として、プリンター、タブレット、そしてヒートテック等の衣類や食べ物ですら機能的ななものは十分に事前アナウンスされている。
ダイビングの場合
店員「このドライスーツは、服を着たまま潜れるんですよ!」
客「えー!本当ですかー???全く水は入ってこないんですかー?」
と、そんなことから説明しなければならない。いつになったら使い方の説明になるんだ?!
AIDMAのAttention前の段階に店員、ダイバーの双方が労力をかけなければ商品の概要すら共有できないのが今のダイビング業界。しかしそういうことに労力をかけるダイバーは少ない。
影響力を持つダイビング業界団体の告知は安易な海のきれいな写真を使ったイメージ戦略にとどまり(それら大半は各地域の特徴ごとに現場のスクールや指導者ができる)、ノンダイバーや初心者のイメージが偏ったまま「潜在人口は多い。チャンスはある。」と言い続けて久しい。
そんな状況で少し値の張る良いものを紹介するといくら良くても疑いから入られても仕方ない。標準が確立されないまま表現次第で受け入れられ方が大きく変わる状況では、営業がエスカレートして悪徳商法化していく店も登場しやすい。
ウエットとドライの「暖かい」は次元が違う…は、広まる?
スキー、ボード、アイスクリーム、健康食品など同様、トレンドの影響は絶大だが、トレンドがいつ来るかは株価を当てるようなもので分からない。そんな外的なものはさておき…
スーツを製造しているメーカー、カリキュラムを提供する業界団体が十分な影響力を発揮しないと、一部の柔軟な行動力を持った優秀で根気強い指導者が個人的に広めていくほかはない。だが、そういった優秀で熱意ある指導者の多くは疲弊し他業種へ出ていく。
自然の中で楽しむスキューバダイビング。暖かい、快適の基準は季節や地域によって異なるものの、誰もが基本的・標準的な知識を持ち、合理的な選択と行動ができる業界になってもらいたい。