概要
コース課題(参加者専用)
DSMB学習ページ:
上記リンクで学習の上、ナレッジリビューに答え、 インストラクターに提出してください。 理解できていな...
コースのゴール
- DSMB、SMBを携行し、使用することの価値を理解する。
- DSMB、SMBを使用するときのリスクの可能性、リスク・マネージメントのテクニック、正しいトレーニングの必要性を知る。
- DSMBを使用するための、その地域の手順/条件を知り、正しいテクニックをデモンストレーションする。
DSMBとSMBの違い
SMB(サーフェス・マーカー・ブイ)
- ダイブの前に膨らませ、ダイブ中は膨らませたまま水面に残す。恒久的なブイにすることもある。
- ダイブフラッグと組み合わせ、小物の水面用の収納場所としても使える。
- ドリフト・ダイビング中は、SMBにリールを取り付け、深度に応じた長さのラインを使用する。
- 水面に戻った後に収納しやすいロールアップ(巻き込み式)あるいはフォルデッド(折り畳み式)のブイがある。
DSMB(ディレイドSMB)
- リールと空気を入れてないロールアップ/フォルデッド式のDSMB を持ってダイブし、ある時点(普通はダイブの終了時に)の水面下でDSMB を膨らませ、ラインを繰り出してから水面へ打ち上げる。
- 一般的に、バディチームはラインをリールに巻きながら浮上し、ラインを指標にして安全停止を行なう。
マーカーブイを使用する目的
- 陸上やボートのスタッフに、浮上中のダイバーがいることを知らせる。
- 通行中のボートにダイバーが浮上することを知らせる。
- 浮上中のダイバーの視標にする。
- 地図製作あるいはサーチ&リカバリーの目印にする。
①SMB:
- ダイバーが水中にいることを、通行中のボートや自分たちのボートに知らせる。
- ブイを曳くとダイバーにある程度の抵抗がかかる。
- 水中アーチ等、頭上にかぶさるような構築物、ケルプの茂みなどの通過に注意が必要。
②DSMB:
- 必要なときだけダイバーが自分のいる位置あるいは目標物の位置を表示するので、ダイブのほとんどを、より自由に行動できる。
- DSMBとしても、SMBとしても使用できる。
※このコースではDSMB の使用に焦点が絞られている。
DSMBの3つのタイプ
DSMB を選ぶときの一般的な3 つの基本選択ポイント
- 底部が開いている。
- 底部にセルフシーリングバルブ(逆止弁)が付いている。
- 小型のインフレーション用シリンダーが付いている。
- 使用時に閉じる構造のDSMBは、浮上中の膨張ガスを逃がす自動圧力開放バルブが付いていなければならない。
- DSMBはチューブ型(ソーセージのような)が多いが、シンプルなリフトバッグ型もある。
- 水面のサポートチームがダイブチームの識別がしやすいように、DSMB に名前を書いておくのがよい。
- 色は地域によって、違った意味をもつ。例えば、ヨーロッパの多くの地域では、オレンジ、赤、ピンクが標準とされており、イエローは緊急シグナルとして使われる。
- ライトスティック用ポケットの付いたもの、またレーダー反射パネルが付いたものもある。
- DSMBは安全停止中のダイバーを支える揚力の大きいサイズが多い。
- ボートから視認できる大きさであること。
リールとスプールの一般的な特長
- リール:
ライン(ひも)を巻き取るもので、回転と停止だけのシンプルなものや、回転の強さを変えられるロックタイプと、逆回転防止(トリガーで解除できる)機構の付いたラチェットタイプがある。- スプール:
ラインを巻き取る部分だけのもの- ハンドル:
巻き取りに便利な取っ手- クリップ、ループ:
使用していないときの取り付け用ナスカン等のクリップや手首などにつけるループ(ホルダー)
ダイブ前の準備
5つのステップ
- リールが正しく巻かれていて動作不良がないか(繰り返し動作を確認)
- ブイに穴がないか、ストラップが傷んでいないか、バルブの機能は正常か。
- クリップが正しく働くか。
- 水中拘束を避けるために、ラインがロックされていて、緩まないか。
- 装着場所は適切か。
使用しないときのDSMB の収納位置:- BCD のポケット
- 保護スーツのポケット
- 他のポケット
- バックプレートのポーチ
- バックプレート/シリンダーにバンジーで固定する
- リール/スプールにクリップで留める
ダイブ前に話し合うべきこと
DSMB を使うダイブの前に、バディとの意思統一をする。
- バディと(できればボートの船長も)DSMBをいつどこで使うかを話し合う。
DSMB使用の4つのポイント
使用前に考えておくこと
- ダイバーとバディがダイブ中に、どの深度あるいはどのポイントに到達したときに打ち上げるか。
- リール/スプールをDSMBに取り付ける。
- DSMBの使用で、水底の生物にダメージを与えない場所に取り付けたり、そのように保持する。
- 膨らんだDSMBあるいはリールを、絶対にダイバーにクリップしてはならない。(コントロールできない浮上のリスクにつながる。)
DSMB を膨らませる方法
環境条件、地域の慣習、使用するDSMB のタイプによる
1. 水温が比較的高い環境
セカンドステージのパージボタンを押す(フリーフローを起こす可能性が低い。)
- バックアップ空気源のパージボタン
- ポニーボトルのような独立したレギュレーターや空気源のセカンドステージのパージボタン。
2. 低水温環境
レギュレーターのパージを使う
レギュレーターの凍結とフリーフローにつながる可能性がある。
- 凍結したときに外すことができるアクセサリー類を使う。
- ポニーボトルのような独立別系統のレギュレーターと空気源からガスを供給するアクセサリー・インフレーターを使う。
- 頭を上げてDSMB を保持し、DSMB にセカンドステージからの排気を直接入れる。
- BCD の排気ホースを持ち、BCD の空気を排出してDSMB にガスを直接入れる。このテクニックではダイバーの浮力が減り、DSMB の浮力が増すので、全体としての浮力はプラスマイナスゼロなので、浮力のコントロール問題が軽減される。DSMB が手を離れた後、ダイバーはBCD にガスを足して中性浮力を回復する。
- DSMB 内蔵のガス源を使う(以下参照)。
口で膨らませるDSMBを使う
- 息を吸い、DSMB のインフレーターチューブに息を吹き込む 。このときはセカンドステージを口から外すことになるが、そのままセカンドステージを手に持っていて、DSMB に吹き込んだらセカンドステージを口に戻す。
中圧インフレーターなどのシステムを使う
- DSMB によっては中圧インフレーター・ホース用のポートが付いていて、BCD やドライスーツと同じように中圧インフレーターが接続できる。この接続はロックしない構造になっているので、浮力がつき過ぎたときには、すぐにDSMB を切り離すことができる。
- 小型のガスカートリッジ内蔵のDSMB もある。他のガス源をわざわざ使わなくても、膨らませることができる。使用法はメーカーの取扱説明書を参照のこと。
3. 浮上中にラインの絡むリスク
リールラインが絡みやすい
- ブイが水面に向かう間、ラインが絡むのを避けるために、軽くテンションをかけてラインを張っておく。底部開放タイプのDSMB では、ガスが抜けないように直立させておくためにもこのテクニックは重要。
- DSMB が水面に着いたら、ラインを張り気味にして、DSMB を直立させて視認できるようにする。
4. 深度下でDSMBを打ち上げる際の注意点
DSMBはただ打ち上げればよいというものではなく、ダイバーは上方や周辺の障害物やダイバーを確認する。
- 障害物には、ボート、沈船の船体部分も含まれる。
- 上方や周辺に明らかなリスクがないことを必ず調べ、確認する。
DSMBを使用するときの4つの危険性
- 水中で緩んだラインが絡む。
- DSMB を使用しているときに、器材に絡む、あるいは器材が外れる。
- DSMB を膨らませるときのバックアップ空気源のパージングによるフリーフロー。
- ラインに引っかかって急浮上、コントロールできない浮上。
リスクを減らす
- 水面にDSMB を上げているときには、リールは絶対にダイバーに固定しない。
- ラインに何も触っていないこと、他のダイバーがラインから離れていることを常に確認す
る。 - 常にラインが緩まないようにする(特に浮上中にリールを巻いているとき)。
- 冷水中でDSMB にガスを入れるときは、レギュレーターの凍結を避けるため、独立ガス源の付いたアクセサリー・インフレーター、レギュレーターの排気、中圧インフレーターホース・アタッチメントの付いたDSMB を使用するか、口で膨らませる。
- 水中拘束に備えて、ラインを切るためのカッティングツールを携行する。
- DSMB を使用しているときは、常に浮力と浮上をコントロールする。
- DSMB をコントロールしながらの浮上が難しいときは、リールを離し、リールなしで浮上する。